将来どんな仕事がしたい。と聞いて、結構な数の回答が、「英語を活かした仕事をしたい。」です。
イメージがしやすいのでしょう。中学生、高校生は、仕事のイメージがありませんからそれでいいと思います。
そう思って英語の勉強の励みになれば、とてもいいことです。
しかし、高校生が、実際に大学の学部を選ぶにあたっては気をつけて下さい。
もう少し具体的にイメージするようにしましょう。
英語ができるって、どんなレベルだと思いますか?学校で一番できる。というレベルではありません。
①大学の 国際〇〇コースに入ったとき
周りのレベルの高さで自信を失う学生がたくさんいます。レベルが違うんです。全国の得意な学生が集まってきます。
でも、まだ学生ですから、がんばりましょう。そのメンバーで一番できるようになればいいんです。そのための大学です。
②就職活動時
「英語が得意です」と自己PRするとして、企業に就職活動する時、ライバルは誰だと思いますか? お父さんお母さんの時代とは違っています。
日本人ではありません。留学生です。英語を母国語として、日本に留学にきていて、かつ、日本語が堪能な留学生と比べられます。あなたの英語力で勝てるはずがありません。
面接の様子を想像してみましょう。
グループ面接が始まりました。同席しているのは、アメリカ、フィリピン、シンガポールの留学生です。
あなたを含めて4人です。
あなたはその場で「私の得意なことは英語です」と言えますか? 留学生の3名より優れている能力、PRできる能力は何でしょうか?よく考えてみましょう。
③職場に入ってから
海外駐在員の選考が始まりました。
・海外工場を作ったり、運営する場合
第一に必要な能力は工場を運営する能力です。現地から部材を調達する購買能力、現地で人を採用する能力、労務管理、製品管理能力です。英語はそのために必要な言葉ですが、他が同じ能力の人であれば、英語を使えるほうにしようか。というレベルになります。
・海外営業所に勤務
営業力です。交渉術、販売すべき製品・サービスの知識、それを顧客に提案する能力、契約のための法的知識などです。工場より英語力は必要ですが、英語力が第一ではありません。英語で契約書が書けるレベルなら素晴らしいと思います。そのために必要な能力は法律に関する能力です。
・経理など事務で海外?
現地駐在員より英語ができますか?ほとんどの場合、現地採用です。(ただ、現地採用枠で「日本語ができる。」という理由で日本人が採用される場合はあります。)
・外資系企業に就職する
外資系が欲しいのは、日本での営業力です。本部とのコミュニケーションは必要ですが、仕事は主に日本語です。
日本の企業が海外に出て、現地採用することを想像してみましょう。日本語が堪能な人が第一の選考基準でしょうか?
違いますよね。現地で働いてくれる人が欲しいんです。
それでも、本部とのコミュニケーションできる語学力も欲しいですから英語も必要です。
④海外ボランティア
例えば、国際交流基金にアジアセンターというところがあります。海外派遣のための仕事のある募集条件は、
「日本伝統、日本文化を海外に紹介できること。海外の高校生に日本を紹介する企画を立案できること。英語は日常会話レベルで可」
です。
「英語ができる」というのは、条件の一つでしかなく、しかも最重要ではない場合が多いです。
このように
英語以外の強みを持つことが大事になります。もちろん、通訳などの専門職、英語力をつけたうえで海外留学で、その後に経営を学ぶ。などの選択肢はあります。
しかし、多くの場合は、何か能力があって+さらに英語もできます。という人材が求められています。
英語以外なら何をするかをまず考えて、そのためにどの学部に入ればいいのか、もう一度考えてください。