一時期、工学部離れということが言われてきました。
工学部の入学者のピークは、1998年の11万2千人。
そのピークから2015年(9万1千人)と18%減っています。
かなり、減ってますね。これは大変だ。日本が誇る技術者がいなくなる。
では、現状の9万1千人って、過去いつの頃と同じでしょう。
資料を見てみると、
1987年と同じです。
1987年と言えば、日本の製造業が強くて、さらにバブル絶頂期です。
自動車、電機、鉄鋼など日本が世界を制覇したと言える時期です。
人口が減っているなかで、工学部への入学者の数がそのころと変わってないのですから、「工学部離れ」にはなっていないような気がします。それに、ここ3,4年は入学者数が変わっていないようです。
実際に工学部の志願者は一定数いるのですが、実は困ったことがおきています。
以前は、石油化学、自動車、電機、情報処理、原子力、航空などとても分かりやすい分け方で、そこに関連する企業もはっきりイメージできていました。
トヨタで自動車作りたいから「機械」とか、日立でコンピュータやりたいから「情報処理」「電子」とか、三菱重工で・・などです。活躍している企業があるので、とてもイメージしやすく学科を選ぶことができました。
ところが今は、技術が複合化して何をやれば何ができるかよくわからなくなっています。
自動車と言っても、「電気自動車」「自動運転」の技術、さらに「都市(交通)システム」から考えないと製品化できない時代です。学科=企業が結び付きにくくなっています。
トヨタに入りたいと思っても、どの学科を選べばいいかわかりません。
大学の方も時代に合わせ、単体学科ではなく。複合的な研究ができるような学科が増えてきています。
その結果、こんなことが起こってしまっています。
「その他の学科」
これが増えてきているんですね。複合学科が増えてきて、そのため、どの学科がいいのか、ますますよくわからなくなっています。
そのため、工学部ってよくわからない。
と言われていしまっていますし、その通り実際によくわからなくなっています。
この状況ですから、高校生にとって学科選びはとても難しくなっています。
「私は何をしていいかわかないから、工学部は無理です。」
ということになってしまいます。
恐らく、大学で学んだことがそのまま将来ずっと使えることはないでしょう。
変化はますます早くなっています。正直言ってどうなるかわかりません。
この際どの学科に入るかあまり関係ないと思っていた方がいいです。
大まかに、生物(医学)系、化学系、物理(機械)系で進路を決めましょう。何をするかはそのあと考えるしかありません。
皆さんは、
今は存在しない「もの」や「サービス」を創造する人材になるんですから。
わからない。
これが正解でしょう。
誰もわかりません。
将来の目標をはっきり持つことが不可能なのです。
だから大体でいいんですよ。
すみません。こんな結論で。
何とかなるでしょう。