指定校推薦制度について質問をよく受けますので、現時点での運用をご紹介しておきます。
指定校推薦の流れは次の通りです。この流れはどの高校でもおおむね同じです。
指定校推薦の流れ
①高3の6月までに指定校推薦を希望するかどうかの調査があります。(これは調査なのでその後の変更は可能です)
②7月ごろに指定校推薦枠(数)と成績基準(評定)が大学から高校に連絡。
例えば、〇▲大学文学部 評定平均4.2以上 2名。
□★大学経済学部 数学Ⅱを履修していること、かつ評定平均4.5以上 1名
などのような連絡です。
人数と評定平均の基準は、毎年変わります。
③7月末ごろまに高校へ希望を提出します。
④9月に高校内で選考されて決定。
⑤10月以降に大学で指定校推薦入試がありますが、落ちることはありません。
このような流れで決まっていきます。
ここで問題になるのが④の高校内の選考です。
高校内の選考は、各高校の自由裁量ですから、高校によってかなり違います。
次からその代表的なパターンをご紹介します。
高校内選考のパターン
①普通公立高校
とくに操作はありません。成績順に大学指定の基準を満たしていれば推薦をもらえます。
但し、出席率が悪い。素行に問題あり。と言う場合は、推薦してもらえません。当たり前ですよね。
②私立高校 その1
優秀な生徒には指定校推薦での受験をさせません。(入学時にはっきりと説明があるはずです)
コース制になっている場合は最上位コースの生徒に指定校推薦は認められない場合が多いです。
下位のコースの生徒を推薦します。
どうして?
できる生徒は一般入試で合格してもらい。できない生徒を指定校推薦で入れたら
高校の合格実績が上がります。高校の経営の問題です。
③私立高校 その2
成績を基準を満たしていて、枠が余っていても推薦してくれない場合があります。高校の判断ですから誰を推薦するのかしないのかは、高校の自由なのです。
どうして、枠が余っているのに推薦してくれないの?と思いますよね。
しかし、理由は単純です。基準ギリギリの生徒を推薦した場合にどうなるか。いつもなら枠が回ってこないような成績の悪い生徒が、その年にたまたま枠が余って推薦をもらって合格したとします。
その生徒が、ちゃんと大学で勉強するでしょうか。多分しないでしょう。
「勉強しなくても、運が良ければラッキー」と言う調子で入学していますので、同じ調子でなめてかかってます。だから、大学でも勉強しませんよね。
その結果その生徒成績が悪ければ、ペナルティは高校に与えられます。
そうですよね。高校が推薦したのですから、生徒ではなく、高校に責任があります。そして、次年度から指定校推薦が取り消されます。
そうなると高校は困るのです。
高校は、枠を使い切らなくてもいいのです。高校としては、「こんな有名な〇〇大学に指定校枠があります。しかも、毎年枠が余ってます。」
こう言えるのです。指定校推薦枠を使いきる必要がなく、枠がずっと存在することが大事なのです。
ところが、成績の悪い生徒に無理に使ってしまい、次年度から枠を減らされたら、たまったものではありません。高校の経営の問題です。
ご存じの方も多いかと思いますが、ご質問も多いのでまとめておきました。
高校入試の説明会で、「当校には、指定校推薦枠がたくさんあって、しかも毎年余ってます」
「当校の〇〇大学の合格者数は、・・名です。素晴らしい実績です」
こういう言葉には気を付けて、中身を確認することが大事です。
ただ、定期テストでしっかり点が取れていれば、どんなパターンでも心配に及びません。
よく勉強して、頑張っている生徒は、高校の経営から見ても「宝」ですから大事にされます。
努力する生徒は「宝」ですから、希望する大学に推薦してもらえます。