今年度から高校生の授業に「資産形成」という項目が追加されています。
今年の高1生は大変です。「情報」も入試科目になりますし、数学、英語も指導要領が改訂されて難しくなっているにもかかわらず、さらに「資産形成」も入ってきます。
ただ、「情報」や「資産形成」は、生きるために必要な知識ですが、これまでは学校で教わるのではなく自分で勉強しなければならない内容でした。
それを高校で教えてもらえるようになったので、むしろ歓迎すべきことでしょう。
「資産形成」の基本は単純です。
「安心」ーーーーーーー「リスク」
このバランスをどうとるかです。
「安心」を求めすぎると「資産形成」はできません。
実は、「安心」というのはタダではなく、かなり高くつものなんです。
コロナ騒動を見るとわかる通り、「安心」を求めすぎると経済が止まってしまい収入が減ってしまいます。
食品も同じです。「賞味期限」で廃棄すると、食品ロスが増えます。無駄になった分は誰が負担するのでしょう。一見するとお店側ですが、実は違います。食品ロスを見込んだ価格設定にするために元々の価格が高くなってしまっています。
現状ひっ迫している電力も同じ。「原発」に「安心」を求めすぎたため、せっかくある発電機が使えず、その分を他の発電を利用するために高コストになっています。
このように「安心」はタダで手に入るものではなく、膨大なコストをかけて実現しているのです。
個人資産も同じで「安心」を求めすぎると「資産形成」は不可能になります。
一番わかりやすい例は「保険」でしょう。
「保険」をかけると「安心」ですが、保険料が増え支出が増えていきます。例えば生命保険に月2万円を30年払ったとすると
2万円×12か月×30年=720万円 必要になります。
反対に2万円を毎月つみたてして4%で30年運用すると(現状だいたいこんな利回りです)
約1400万円の資産が形成できます。(計算は下記金融庁のページを利用しました)
700万円払うか、1400万円手に入れるかの違いになるのです。
しかし、今後は逆に「リスク」を取りすぎる。つまり、「保険」をゼロにすると自動車事故、火災などに合うと取り返しがつかない損害が発生してしまいます。
事故で収入が途絶える。事故の加害者で高額な損害賠償を払う。火災で財産を失う。・・
どちらがいいという問題ではなく、バランスをどこで取るかということがテーマになります。
自分の年齢、おかれた立場によって、「安心」ーーー「リスク」のどのレベルが最適なのかが変わってきます。今の自分にはどこが最適なのかを自分で判断しないといけないんです。
子供が生まれたら、生命保険の金額は大き目に。子供が成長して働きだしたら生命保険の金額を低くする。などですね。
それぞれのおかれた環境で必要なものが違ってきますから、正解はひとりひとり別のものになりますし、同じ人でも年齢によって変わってきます。
だから難しい。教える方も難しいんです。そのため、学校で教えることをしていませんでした。
正解がないから教えにくいんですね。
さらに、正解がないということ以外に、学校で教えるのが難しい理由があります。
それは、学校の先生が一番「安心」を重視しているからです。
一番「安心」の側にいる学校の先生が、「リスクを取れ」など指導できるはずもなく。とんでもない授業になっているような気もします。
お金は「投資」ではなく「貯金」
仕事は「スタートアップ」ではなく「公務員」
こうなってないかな?大丈夫でしょうか?
それはさておき、少し「リスク」を取って資産形成しましょう。という話につづきますが、
「リスク」を取るためには勉強が必要になります。「どこにどのようなリスク」があるのかを知らないと「リスク」は取れません。勉強しないで「資産形成」をしようとすると「詐欺」にあいます。
「あなただけに儲かる話を教えます。」というやつですね。
学校で「資産形成」を教えたばかりに「詐欺」被害が増えたら何をしているのかわかりません。
さらに、これからも、世の中はどんどん変わりますから、存在する「リスク」も変化します。だから、変わっている社会について、一生勉強し続けないといけないのです。
勉強は、大学受験で終わりではないですよ。「資産形成」するためにずっと続けてください。
という授業になるのかと思います。